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名古屋地方裁判所 昭和46年(ワ)3092号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕帰責事由

(一) 被告古瀬

被告古瀬の過失の有無について判断する。

<証拠>によれば、次の事実を認めることができる。

1 本件事故現場は、名古屋市西区山田町大字上小田井字東古川三九五三番地にある交差点内である。同交差点は、東西に通ずる幅員二二メートルの舗装道路と幅員一三メートルの北方に通ずる道路とが丁字型に交差する三差路で、信号機が設置されている。東西に通ずる道路の中央には二メートルの中央分離帯があり、車道の幅員は片道八メートルあり、左側の歩道の幅員は1.5メートル、右側のそれは2.5メートルある。

また、北方に通ずる道路の車道の幅員は九メートルあり、両側に幅員二メートルの歩道がそれぞれ設置されている。東西に通ずる道路の交通はひんぱんである。

2 被告古瀬は、昭和四四年一月三日午後四時四〇分ごろ、被告車両を運転して、東西に通ずる道路を東進して、右交差点にさしかかり、直進しようとしたが、赤信号のため西側横断歩道の手前でいつたん停車したが、他に訴外車両も一台被告車両の右横に停車していた。そして、信号が青に変つたので、まず、右訴外車両がまず発進し、続いて被告車両も発進し、交差点中ほどまで進行したところ、右横少し前を走行していた右訴外車両が被告車両の進路にかぶせるように寄つて来たので、左にハンドルを切りブレーキをかけたが、右訴外車両は再び右にハンドルを戻し直進して行つたので、被告古瀬も再び速度を増して時速二〇キロメートル位で約4.2メートル進行したところ、おりから、南(右方)から北に向つて自転車に乗つて横断している原告を右前方約4.3メートルの地点に認め、あわてて急ブレーキの措置をとつたが間に合わず、東側横断歩道手前約2.6メートル付近において、自車前部中央付近を右自転車左側面に衝突させたものである。

3 他方、原告は、自転車に乗つて東西に通ずる道路を西進して右交差点にさしかかり右折しようとしたが、東西に進行すべき自動車が停車していたので、停車してくれるものと考え、まんぜんと信号を確認しないまま自転車に乗つて交差点東側横断歩道寄りに右折を開始したため、右2のとおり被告車両と衝突したものである。

以上の事実を認めることができ、原告本人木村孝治の供述中、右認定に反する部分は採用しない。他に右認定を妨げる証拠はない。

右認定事実によると、被告古瀬は、交差点中ほどまで進行した地点で、右前方の訴外車両が左にかぶせるように寄つて来るのを認め、その後約4.2メートル進行した地点で原告車両を発見し急ブレーキの措置をとつているがその間の時間は、その際の速度から推定すると、わずか一秒弱であると考えられ、この間に被告古瀬に先行訴外車両のかげから出てくる原告車両もしくはその他の危険を予見させて減速徐行させるということはきわめて困難であるのみならず、被告車両の速度自体も時速二〇キロメートル位であつたことからすると、それほど速かつたとはいえない。他方、原告は、本件交差点を右折する際、道路交通法三四条三項に定められた方法をとらなかつたのみならず、信号を確認することもなく、まんぜんと東西の自動車が停車している間を通り抜けようとしたものであり、きわめて安易で、かつ、危険な行動であつたというほかない。そうすると、被告古瀬には過失があつたとはいえず、原告木村には右折する際に法定の方法をとらなかつた過失ないしは信号不確認の過失があつたことが認められる。

そうとすれば、被告古瀬に本件事故の損害賠償責任を負わせることはできない。

(二) 被告会社

同被告が、被告車両を所有し、自己のために運行の用に供していたことは当事者間に争いがない。

そこで、被告会社の免責の抗弁について判断するに、本件事故の発生について、原告木村に過失があり、被告車両の運転者である被告古瀬に過失のないことは右(一)に認定したとおりである。そして、右認定事実および弁論の全趣旨によると、本件事故と因果関係を否定しえない被告会社の被告車両に関する通行上の過失ならびに被告車両の構造上の欠陥および機能の障害はなかつたと認められる。

したがつて、被告会社には自賠法三条但書の免責事由があり、同被告に本件事故の損害賠償責任を負わせることはできない。この点に関する被告の抗弁は理由がある。 (大津卓也)

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